大学の学食
1988年に私は山形大学に入学した。山形大学では一年生のほとんどが(工学部Bコース、つまり夜間中心コースを除き)山形市の小白川という本部キャンパスに通った。工学部Aコースは二年生になれば米沢市へ、農学部生は一年生の後期から鶴岡市、医学部生は三年から山形市の飯田地区のみとなる。
さて、小白川キャンパスの生協食堂は適度にキラキラしていて人気だった。新規性のあるメニューから定番の洋食まで。厚生食堂や二階カフェ、麺コーナーらと一線を画す、安らぎの空間が生協食堂小白川店だった。
価格と工夫
さてバブリーであり物価も高騰するなか、食材のいくらかは一定の値段で提供する事が難しくなる。当時、なぜだか巨大イカのロールイカは安定して調達できたが、ツボヌキで輪切りにできる良いサイズのイカが高価になってきた。
イカと言えば、輪切りイカのリングフライにたっぷりソースをかけて食べるのが大学生たちの喜びの一つだった。その材料を調達するのが生協で難しくなったらしい。
1989年の春から、「イカリングフライ」の中身は、何かのでんぷん質のフィリングにイカのぶつ切りを和えて、ドーナツ状に揚げられた。見事だ。
怒りの「イカリング」
「イカリング」の触れ込みでいつも通りに定食を提供され、これを選んで一口食べた私は激怒した。
これはイカリングフライではない、烏賊入りリングフライだ、と。
私は本質的には烏賊入りリングフライに恨みを抱いていない。「イカリングフライ」とは何もかも違う商品ではないか。学生風情だと思って客をバカにするのは、生協はどんな了見なのか。
クレーマー、クレーマー
言いましたさ、生協専従のお兄さんに。「ご意見箱」にも。
さっそく、サンプルの銘板には「イカいりリングフライ」と書いていただいた。嬉しかったなあ。
納得して理解して買って食ってくれた学生仲間は多かった。ホットしたなあ。